【シーズン5ネタバレ私生活編】アストリッドとラファエル文書係の事件録|流産とプロポーズ、そして衝撃の最終回

物の少ない部屋で囲碁をする金髪女性と黒髪男性。 作品・考察

フランス発の大人気ミステリードラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』(原題:Astrid et Raphaëlle)。

シーズン5は、これまで以上に事件のミステリーと人間ドラマが絡み合う濃密なシーズンとなりました。特に注目すべきは、登場人物たちの“私生活”にスポットが当てられている点です。これまで事件解決の裏側で描かれてきた恋愛や家族関係が、ついに物語の核心に関わっていくのです。

この記事では、あえて事件のミステリーそのものには深入りせず、ラファエルの妊娠、アストリッドとテツオの関係、幼なじみサミが秘めていた衝撃の真実など、視聴者の心を大きく揺さぶる「プライベート編」のネタバレだけを徹底的に解説します。

※重要なネタバレがありますので、未視聴の方はご注意ください。

「刑事ドラマなのに、ここまでキャラクターの人生を深く描くのか!」と驚くような展開が続き、最終回には衝撃のクライマックスが待ち受けています。事件編とはまた違う楽しみ方ができるのが、このシーズン5の大きな魅力でしょう。

この記事を読めば、別れ・流産・プロポーズ・結婚、そして衝撃のラストシーンまで、主要キャラクターの私生活がどう動いたのか一気に理解できます。

ドラマをすでに見た方には振り返りに、まだ視聴前の方には心の準備に役立つはずです。ぜひ最後までお楽しみください。

ラファエルの妊娠と流産|心の葛藤と家族の支え

シーズン4のラストで妊娠が判明したラファエル。
息子テオはすでに大きく、久しぶりの妊娠であり、年齢的にも高齢出産の可能性が高いという状況でした。

同僚であり、長らくすれ違ってきたニコラとようやく心を通わせ始めた矢先の妊娠。ラファエルは複雑な気持ちを抱え、ニコラにも伝えられず、検査結果の封筒を開けることもできません。

父親との会話が転機に

事件の流れで父親に電話をした際、ラファエルは勇気を出して妊娠を打ち明けます。

すると、父は思いがけない過去を語り始めました。実はラファエルの母親も同じ年頃に妊娠していたものの、父に相談せずに中絶を選んでいたのです。

「中絶したことではなく、お母さんといっしょに悩んでやれなかったことが悔やまれる」という父の言葉は、「結論がどうであれ、必ずパートナーと共有し、一緒に考えてほしい」という想いが暗に込められていました。

そんな父の想いはラファエル深く響き、ようやくニコラに妊娠を伝えることができたのです。イレギュラーな出来事が起きたときなど人柄が試される瞬間ほど、人生の真価が表れる――まさにそんな場面でした。

しかし…第2話のラストで悲劇が!

しかし、物語は思わぬ方向へ進みます。
出産を決意しかけていたラファエルとニコラでしたが、捜査に没頭していた最中、残念ながら流産してしまいました。

ショックを受けながらも、ニコラは病院で「でも、誘拐されていた子どもを1人救った」と語ります。このセリフには彼の優しさと職業人としての誇りが込められており、視聴者の心を打ちました。

※流産はセンシティブなテーマですが、本作ではキャラクターの成長と絆を描く重要な要素として扱われています。

制作陣としては、赤ちゃん誕生によって同じフランスのミステリー『モルガン 天才捜査コンサルタントの殺人事件簿』(原題:HPI)と設定がかぶるのを避けたのかもしれません。

アストリッドとテツオの関係は最終的にどうなった?

シーズン5は、アストリッドとテツオにとっても大きな転機となるシーズンでした。

テツオがビザ失効で帰国してしまう

テツオ・タナカは日本人大学院生(数学専攻)という設定で、奨学金を受けながらフランスに滞在しています。ところが、何らかの事情で奨学金が打ち切られ、ビザの失効に直面してしまいます。

第2話の終わり、テツオは暗い表情で「奨学金が止まれば日本に帰らなければならない」と語ります。しかしアストリッドは「不確かなことを議論しても仕方ない」とそっけない返答。テツオは「君を愛している。フランスに残って欲しいのか」と問いかけますが、答えは得られません。

感情を抑えてきたテツオが珍しく取り乱し、部屋を飛び出していく姿は胸を締めつけました。もう会えないかもしれない、愛されていないのかもしれない――そんな不安が彼を突き動かしたのでしょう。

その後は、ラファエルの助言があり、アストリッドは帰国するテツオに想いを伝えることができました。ラファエルのサポートが光ったシーンでした。

プロポーズという選択肢

テツオと遠距離恋愛になってしまったアストリッドに、ラファエルがあるアイデアを勧めます。それは、「法律的な結婚」をすること。これにより、テツオはフランスに滞在する資格を合法的に得られることになるからです。

フランスでは法律婚は一般的ではありません。でも、自閉症スペクトラムの特性を持つアストリッドにとっては不確かな恋人関係よりも、法律に契約として明記される婚姻のほうが安心できる選択肢でした。なので、こちらも、ラファエルのサポートが光りました。

6話のラスト、テツオが2年間のビザを得て戻ってきます。
アストリッドはしっかり考えた末、涙ながらにプロポーズ。自閉スペクトラム特性を抱える彼女にとっては大きな決断でした。二人の結婚は、視聴者にとっても待望の瞬間だったのではないでしょうか。

謎多きサミの正体と物語における役割は?

シーズン5には、アストリッドの幼馴染のサミという男性が出てきます。視聴者にとっては、突然現れたこの男性がミステリー。

実はサミは、アストリッドの近所に住んでいた自閉症の男の子で、一緒に乗馬センターに通っていた人物。その後、お父さんの仕事の都合で引っ越してしまい、しばらく会っていませんでした。

久々にサミに会って、アストリッドのパニック発作が再び始まってしまいました。なぜかサミの幻覚を見て、倒れてしまうのです。

なぜパニック発作のときにサミが出てくるのか。

アストリッド自身の人生にミステリーが潜んでいました。

その真相を明らかにするべく、アストリッドはサミの自宅を訪ねます。すると、サミとともに乗馬センターに通っていた頃の、一部の記憶がすっぽり抜けていることがわかります。

たまたま、第7話が競走馬の厩舎を舞台にした事件だったことから、馬と触れ合っているうちにアストリッドの記憶が蘇ってきます。

やがて明らかになるのは、乗馬センターの指導員・ドゥニから受けたひどい仕打ち(身体的・精神的虐待)。そしてその頃、ドゥニが行方不明になっていた事実でした。

サミは何を知っているのか。

アストリッドの記憶には、干し草用フォークをドゥニに向ける自分の姿が浮かび上がります。そして――ドゥニの遺体が発見されるのです。アストリッドは、自分が殺したのだと思い込みます。

アストリッドの無実を信じるラファエルは、サミから真実を聞き出そうとします。

そして、サミとその父から語られたのは衝撃的な事実でした。サミはアストリッドを助けようと干し草用フォークを手にし、ドゥニを脅そうとしたそうです。そのとき、暴れた馬に押されてドゥニがフォークに向けて倒れてきたので、結果として刺してしまったのでした。
サミから連絡を受けた父親は、息子を守るために事故を隠蔽することを決め、遺体を廃屋の壁の中に隠したと告白しました。

アストリッドの過去にも、しっかりとミステリー要素を組み込んでくるあたりがさすがです!ミステリードラマに登場人物の私生活要素をどのように組み込むかは、「上質なミステリー」を「昼メロ」にしてしまわないための重要なポイントだと言えるでしょう。

ラマルク再登場!アストリッドとラファエル衝撃の最終話

最終話(第8話)では、脱獄した殺人犯アラン・ラマルクが再登場。彼はシーズン3第4話で登場し、刑務所の中でミステリー小説を書いていた男です。アストリッドに異常な執着を示し、ホームズとモリアーティのような関係を妄信していました。

ラマルクって誰?

えっと、ラマルクって誰だっけ?という方は、シーズン3の第4話をぜひ見直してください。刑務所の中でエリック・エルンスト名義で推理小説を書いていたラマルクは、アストリッドに固執していた人物。その後、脱獄して姿を消していたのでした。

このラマルクは、人気ミステリー漫画、金田一少年の事件簿でいう地獄の傀儡師・高遠(たかとう)のように、殺人の台本を犯人に渡していたのです。

今回も、自分が殺人の台本を渡した犯人を追い詰めている警察が「コストとニールセン」だと聞くと、再び絡んできます。

「君は謎を解かずにはいられない。」と、アストリッドの特性を知ったうえで、ミステリーゲームを仕掛けてくるのです。

最終的にラマルクはラファエルに撃たれ死亡します。しかし、「アストリッド、また会おう」と意味深な言葉を残して絶命。視聴者に不気味な余韻を残しました。

アストリッドとテツオの結婚式、そして新たな罠

エピソードの最後には、アストリッドとテツオの結婚式が描かれます。
涙ぐむラファエルはまるで花嫁の母親のよう。テツオの親族であるアピュ・タナカやアストリッドの母親も登場し、祝福ムードに包まれます。

しかし、その幸せな場面に暗雲が…。
死んだはずのラマルクが仕掛けた罠は結婚指輪に隠されていました。アストリッドより先に試しに指輪をはめたラファエルが突然倒れてしまうのです。

2025年1月からシーズン6の撮影が始まっているため、ラファエルが命を落とす可能性は低いでしょう。それでも、先の展開が気になる衝撃的な幕切れとなりました。

まとめ|シーズン5は“心の傷の癒やし”を描いた傑作だった

『アストリッドとラファエル』シーズン5は、ミステリーの謎解きに加え、登場人物たちの心の傷と向き合う物語が大きな軸となっていました。

  • ラファエルは流産を乗り越え、友としてアストリッドを支える
  • アストリッドは過去の記憶に向き合い、パニック発作を克服
  • アストリッドは、自分の特性を克服して愛を選ぶ決意へ

友情と支え合いが人の心を癒やすことを描いた、ヒューマンドラマの要素が色濃く表れたシーズンです。

シーズン6では、新たなミステリーや人間関係の変化が待ち受けているはず。続報が入り次第、またご紹介していきますので、楽しみにしていてください。

『アストリッドとラファエル』シーズン5は、事件の謎よりもむしろ、登場人物たちの“心の謎”を解き明かすシーズンでもありました。