フランスの大人気ミステリー『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』。
シーズン5では、これまで以上にクセの強い事件が次々と登場します。しかも今回はただの殺人事件ではなく、宗教や文化ががっつり絡んでくるんです。
たとえばチベットの高僧、モルモン教、さらにはブードゥー教まで!?
「えっ、刑事ドラマなのにこんな題材まで扱っちゃうの?」と思わず身を乗り出してしまうような異文化ミステリーが満載なのは、さすがフランスのミステリーです。(フランスのミステリーは時事的な社会問題に切り込んでいくことがあります。)
この記事では、ラファエルやアストリッドの恋愛事情にはあえて触れず、“事件編”だけをピックアップしてネタバレ解説していきます。
この記事を読めば、チベット高僧の転生をめぐる国家間の攻防から伝説の黄金郷「エルドラド」の秘密に至るまで、シーズン5の事件のエッセンスを理解できるでしょう。ぜひ最後までご覧ください。
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第1話&第2話:「毒ヘビ」
第1話と第2話(原題:On ne meurt qu’une seule fois/死ぬのは一度だけ、Mais c’est pour si longtemps /でもそれはとても長い)は、登場人物が多く、複雑な国際事情が絡んだ大掛かりな事件です。
物語は、公園で女性が蛇の毒で殺されるという奇妙な事件から始まります。
被害者の身元が、実はCIAのエージェントであったことから、ラファエルたちはフランスの諜報機関DGSEとアメリカのCIAの両方から捜査協力を求められることになります。
スパイ映画のような展開にはしゃぐラファエル。ここでちょっとコメディ要素入ります。妊娠中なのに大丈夫・・・!?と思ったのは筆者だけではないはず。
最終的には、アストリッドとラファエルは、殺し屋「毒蛇」の正体を突き止め、その脅迫された事情を理解します。
第3話:「マンダラ」
第3話 (原題:Mandala)は、バシェール警視正の親友が見る奇妙な悪夢から始まります。
その夢の中に登場する人物は実在するチベット仏教の高僧で、28年前にフランスで殺されていました。
果たしてシェール警視正の親友の男性は高僧の生まれ変わりなのか?という、スピリチュアルな展開になると思いきやーーーアストリッドの鋭い分析により、犯人が転生を信じるチベット仏教の関係者であり、事件には中国のスパイ活動が絡んでいたことが判明するのです。
第4話:「エルドラド」
第4話 (原題:Le dernier des azteques)は、有名なトレジャーハンターが自宅で心臓を抜き取られた遺体で発見されるミステリー。
捜査を進める中で、伝説の黄金郷「エルドラド」の秘密を巡る壮大な物語が明らかになります。アストリッドはアステカの暗号を解読し、事件の真相と犯人を見つけ出します。
ジャングルから連れてこられた若者が登場するあたりが、シャーロック・ホームズの「4つの署名」を思い起こさせるような、壮大なミステリーです。
第5話:「殉教者」
第5話 (原題:Le bapteme des morts)は、モルモン教の模範的な教会員が、教団の創始者と同じ方法で殺害されるミステリーです。
こないだはチベット寺院でしたから、シーズン5は宗教がらみが多いですね。
この事件は、コミュニティの指導者が実は指名手配中の殺人犯であったという衝撃的な真実を暴き出します。
このエピソードでは、16歳の女の子が50歳の男性の第2夫人になるという話が出てくるのですが、とても気持ち悪い描写となっています。モルモン教徒から苦情が出ないのだろうか・・・と心配になります。
第6話:「満月の夜」
第6話 (原題:Loup y es-tu?)は、満月の夜、大きなキバのようなもので噛み殺された男性遺体が見つかるミステリー。過去の4件の事件と同じく「狼男事件」だということで、今回はプロファイラーの女性が捜査に参加します。
アストリッドの分析で、事件現場に必ず残される、等間隔に置かれた8つの小物。これはブードゥー教のべべというシンボルだとわかります。
唯一の目撃者である女性は、犯人を「毛むくじゃらの狼人」だと証言します。
最終的には、犯人は多重人格(解離性同一症)を持つ女性であり、売春組織の元締めへの復讐のために犯行を重ねていたことが明らかになります。人身売買、虐待、性的搾取も絡む社会派ミステリーです。
第7話:「名馬の最期」
第7話 (原題:On acheve bien les jockeys)は、フィボナッチ二世という優勝候補の競争馬が、トルコの刀剣で刺されて殺されるミステリーです。やがて、その騎手も殺害されてしまいます。
アストリッドは、事件に14年前の競馬事故が関係していることを見抜き、複雑な人間関係と裏切りが絡んだ悲劇的な真相を解き明かします。アストリッドは、かつて乗馬センターに通っていた経験を活かして、事件を解決しつつ、幼少期のトラウマを呼び起こし、過去の記憶と対峙します。
第8話:「完全犯罪の台本」
第8話 (原題:Un mariage et quatre enterrements)は、映画の撮影中に主演男優が射殺される事件から始まります。撮影現場での殺人が妙にチープだなと思ったら、実はこれはある男が台本を書いたものだったのです。
その男は、脱獄囚アラン・ラマルク。このラマルクは、シーズン3に出てきた人物です。金田一少年の事件簿でいう地獄の傀儡師のように、殺人の台本を犯人に渡していたのです。
ラマルクは、賢いアストリッドに興味を持ち、固執しています。
ラマルクの暇つぶしとも言えるような茶番につきあわされるアストリッド。ラファエルがラマルクを射殺してあっけなく終わったように思いましたが・・・(シーズン6に続く)
まとめ|宗教と文化が交錯したシーズン5の事件群
『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』シーズン5の事件編は、これまで以上にスケールが大きく、そしてクセの強いミステリーが揃いました。
- チベット高僧の転生をめぐる国家間の攻防
- 伝説の黄金郷エルドラドを追うトレジャーハンター殺害事件
- モルモン教の裏側に潜む衝撃の真実
- ブードゥー教の儀式を思わせる連続殺人と社会派テーマ
- そして脱獄囚ラマルクによる「完全犯罪の台本」
一見するとオカルトやスピリチュアルに見える題材も、アストリッドの冷静な分析によって論理的な解決に導かれるのがまさにこのドラマの醍醐味だと思います。
シーズン5を通じて見えてきたのは、単なるミステリーを超えて、宗教・文化・社会問題といった現代的テーマをどう扱うかというフランスドラマならではの挑戦です。
最終話で再び姿を現したラマルクが仕掛けた罠にラファエルがかかってしまい、クリフハンガーでシーズン5は終わりました。
次のシーズン6では、彼女たちがどんな新しいミステリーと向き合うのか――そして、どのように乗り越えていくのか。今から期待が高まりますね。