「刑事マードックの捜査ファイル」(原題:Murdoch Mysteries)は、カナダを代表する大人気の長寿ミステリードラマ。
その中でもシーズン15(全24話)は、シリーズ最大級のボリュームと、事件解決だけでは終わらないキャラクターたちの人生模様が、大きな話題を呼びました。
一方で、「探偵ドラマから昼メロに変わってしまったのでは?」というファンの声もあり、賛否両論が渦巻いた転換点のシーズンとも言えます。
本記事では、シーズン15のあらすじをネタバレありで解説しつつ、主要キャラクターの動向やファンの反応を詳しくご紹介します。
シーズン15の賛否両論:ミステリーから個人的なドラマへ
シーズン15の最大の特徴は、ウィリアム・マードック刑事たちが挑む科学的でユニークな事件の数々と、彼らの個人的なストーリーラインが密接に絡み合っている点です。
全24話という異例の長さで、それぞれのキャラクターに十分な時間を割き、抱える問題を丁寧に描写しました。しかし、この変化には賛否両論がありました。
Redditなどのファンフォーラムでは、「このシーズンはもはや探偵ドラマではなく、登場人物の個人的な物語が中心のソープオペラのようだ」という意見も多く見られます。ちなみに、ソープオペラというのは、石鹸会社がスポンサーをしていたTVドラマシリーズを皮肉った言い回しで、日本語にすると「メロドラマ」「昼メロ」にあたる言葉です。
特に、ブラッケンリード警部が息子のボビーを探すエピソードのように、事件解決がほとんど描かれない回があったことがその根拠とされています。
また、以前のシーズンでは、死体安置所でジュリア・オグデンが詳細な検死結果を説明し、マードック刑事が熱心に聞き入るという、ミステリーの核心に迫る場面が多くありましたが、シーズン15ではそうした科学的捜査の描写が少なくなったことも指摘されています。初期のシリーズに見られた「犯行現場や容疑者を緻密に分析する」メソッド的な展開を懐かしむ声も上がっています。
一方で、キャラクターの個人的な物語に焦点を当てたことで、より深みが増したと評価する声も少なくありません。長年シリーズを追ってきたファンにとっては、キャラクターが成長し、困難に立ち向かう姿は物語への感情移入を強める要素になっています。
刑事マードックシーズン15|主要キャラクターの物語(ネタバレ)
シーズン15では、主要キャラクターそれぞれに大きな転機が訪れます。ここでは、彼らの個人的な物語をネタバレありで振り返ります。
ウィリアム・マードック刑事とハリー
シーズン13で元恋人アンナ・フルフォードと共に初登場したハリー。このハリーは、マードックの実の息子であることが明かされました。
シーズン15の冒頭では、そのハリーとアンナを危険なギャング団「ブラック・ハンド」から守るため、マードックはモントリオールへ向かいます。過去の因縁と現在の脅威が交錯するスリリングな展開となり、マードックの家族への強い思いが浮き彫りになります。アンナとハリーをイギリスへ逃がした後も、彼はハリーの身の安全を気にかけ続けます。
特に「Rawhide Ralph」では、ハリーがジュリアと共に誘拐され、再び父として奮闘する姿が描かれました。ファンからは「ハリーという息子がいるとわかったのに、物語で十分に扱われていない」と不満の声も上がっていたので、今後の展開でハリーがどう描かれるか注目されています。
ジュリア・オグデンの妊娠
長年にわたり、視聴者が注目してきたマードック刑事とジュリアの関係。ある一つの「奇跡」によって新たな段階を迎えます。それは、長年にわたる不妊治療を経て、ついに妊娠するという奇跡です。
これは、二人の関係における最大の障害を乗り越える重要な出来事でした。女優ヘレン・ジョイ本人の妊娠と重なったこともあり、ファンは現実味を持って受け止めました。出産後には一時的な性格の変化も描かれましたが、ホルモンバランスの影響とされ、リアルな共感を呼びました。
ジョージ・クラブツリー巡査
作家活動を続けるクラブツリーは、精神を病んだ女性アメリアに誘拐されるという危機に直面します。純粋さと警察官としての成長を試されるエピソードであり、さらにエフィーとの関係も進展しました。
トーマス・ブラッケンリード警部
息子ボビーの失踪事件に苦悩し続けるブラッケンリード。警察官である前に一人の父としての姿が色濃く描かれました。このストーリーに対しては「感情に寄りすぎている」との否定的な意見もあれば、「人間味が増した」と肯定する声もあります。
リューウェリン・ワッツ刑事
同性愛者であることが示唆されるワッツ刑事。ドラマの設定である時代背景から、孤独と葛藤を抱えています。パートナーを失った後、新たな関係もうまくいかず、最終的にニューヨークへ向かう決断をします。複雑なキャラクター性と演技は多くのファンを魅了し、「幸せになってほしい」との声が寄せられました。
シーズン15の主要エピソードと歴史的人物
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「Murdoch on the Couch」:精神分析学の創始者ジークムント・フロイトが登場。科学的思考と心理学の対比が描かれる興味深いエピソード。
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「Patriot Games」:日本のスパイが韓国人家族の地下室で死体となって発見される国際的事件。差別や偏見といった社会問題にも踏み込みました。
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「Sweet Amelia」:クラブツリーがアメリアに誘拐される心理的スリラー。彼の過去と向き合う展開が描かれます。
加えて、ハロウィーンやクリスマス特集もあり、物語に彩りを添えています。
シーズン15の結末:クリフハンガー
最終話では、マードックと家族が命を狙われるクリフハンガーで幕を閉じます。
家族を安全な場所に隠し、犯人を突き止めようと奮闘するマードック。ジュリアの妊娠という希望と、家族への脅威という恐怖が同時に描かれ、スリリングな結末となりました。
視聴者の期待はシーズン16へと大きく膨らむことになります。長寿シリーズならではの展開ですね。
刑事マードックの捜査ファイル シーズン15はいつから?放送予定と配信情報
シーズン15は、カナダのCBCテレビで2021年9月13日から、イギリスのUKTVアリバイチャンネルで2022年1月27日から、アメリカのOvationTVでは2022年2月26日から、そしてAcornTVでは2022年2月28日から放送および配信が開始されました。
シーズン15は日本でいつ放送される?
2025年9月時点で、日本でのシーズン15の放送や配信について確定的な情報は得られていません。
日本では、U-NEXTおよびAmazonプライム・ビデオで、シーズン5まで配信されています。(一部有料の場合がありますので、ご確認をお願いします)
最新シーズンを含めたまとめ
「刑事マードックの捜査ファイル」シーズン15は、シリーズの転換点といえる内容で、科学捜査と人間ドラマが交錯する深い物語が描かれました。
マードックの息子ハリー、ジュリアの妊娠、クラブツリーやブラッケンリード、ワッツ刑事の人間的な葛藤など、シリーズが長く続くからこそできるキャラクターの掘り下げが魅力です。一方で、「事件中心ではなくなった」との賛否両論もあり、ファンの間で議論となりました。
その後、最新のシーズン18(2024年9月〜2025年4月)では、新たに インスペクター・アルバート・チョイ(演:Paul Sun‑Hyung Lee)が登場するなど、さらに新しい局面を迎えています。
さらに朗報として、シーズン19もすでに制作が決定しており、CBCから21エピソード構成での続投が発表されています。マードックの新たな事件と人間ドラマは、まだまだ楽しめますね!
日本での放送・配信を待ちたいと思います。