イギリスBBCの大ヒットドラマ「ニュートリックス退職デカの事件簿(New Tricks)」。ミステリーとクセ強デカたちのコメディのコラボが見どころで、長寿シリーズとして高い人気を誇っていたにもかかわらず、2015年のシーズン12をもって突然の打ち切りとなりました。
ファンからは「なぜ?」「もっと続けてほしかった!」という声が多数寄せられ、まさに“衝撃の打ち切り”となりました。
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なぜ人気ドラマが終了したのか?
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キャストたちに何が起きたのか?
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あの耳に残る主題歌を歌っていたのは誰?
この記事では、打ち切りの真相・降板の時系列・主題歌の歌手まで、徹底的に解説します。
ニュートリックス打ち切りの理由|最大の原因は「キャスト総崩れ」
打ち切りの直接的な理由は、オリジナル主要キャスト4人全員が降板したことです。
特に脚本家とキャストの間に起きた“内紛”が決定打となり、番組継続が困難になりました。
理由①:オリジナルキャスト全員が降板
ニュートリックスの魅力は、クセが強い退職デカ3人とサンドラ警視が個性をぶつけ合いながら事件を解決していくところにありました。
しかし、シリーズが進むにつれて、オリジナルの主要メンバーが次々と降板。なんと、主要キャスト4人のうち、最終的には全員が降板してしまったのですから、前代未聞です!
打ち切りの理由は、ニュートリックスの《ウリ》であるクセ強デカたちを失ったことでした。
理由②:キャストが「脚本の質低下」を批判 → 脚本家がSNSで反撃
注目すべきは、ジャック役のジェームス・ボラム降板後、残された3人のキャスト(アマンダ・レッドマン、アラン・アームストロング、デニス・ウォーターマン)が、BBCインタビューで脚本の質を公然と批判したこと。
「登場人物の個性が薄まり、ストーリーが以前ほど魅力的ではなくなった」(アラン・アームストロング、2012年BBC Radio Timesより)
これに対し、脚本家の1人ジュリアン・シンプソン(Julian Simpson)がX(旧Twitter)上で「不満があるなら自分で書け」と投稿。
この“バトル”が引き金となり、キャストの信頼が崩壊。降板ドミノが加速したのです。
理由③:新キャスト起用は失敗に終わる
主要キャストが降板してしまったので、制作側は新メンバーを投入してテコ入れを図りました。しかし、キャスト変更に対する視聴者の反応は思わしくありませんでした。
- 「ニュートリックスらしさが消えた」
- 「個性が弱く、キャラの掛け合いが物足りない」
新キャストに選ばれた俳優たちが少しかわいそうですが、ニュートリックスは、”クセ強チームの絆”こそがウリのドラマ。
クセ弱な新キャストたちでは、もはや何のドラマだかわからない状態になり、視聴率も徐々に低下し、最終的にBBCは「シーズン12をもって終了」と決定します。
ニュートリックス|降板ドミノ時系列解説
シリーズ後半に、次々と主要キャストがいなくなるという「降板ドミノ」が発生した異例の事態。ここでは、メンバーの降板について時系列で解説します。
キャスト | 役名 | 降板シーズン | 降板理由 |
ジェームス・ボラム | ジャック | シーズン9 | 脚本への不満、体調 |
アマンダ・レッドマン | サンドラ | シーズン10 | 新たな挑戦を希望 |
アラン・アームストロング | ブライアン | シーズン10 | SNS騒動後すぐに降板 |
デニス・ウォーターマン | ジェリー | シーズン12 | 番組の終焉に合わせ |
(出典:IMDbトリビア、BBC News、The Guardian)
ジェームス・ボラム降板
初期メンバーのリーダー的存在、ジャック・ハルフォード役のジェームス・ボラムは、シーズン9の第1話でさようならとなりました。
ジェームズとしてはシーズン8で降りたかったようですが、話の辻褄を合わせるためかシーズン9の冒頭だけ出てきます。
ジェームズは8年間ニュートリックスに出演してきたのですが、「ドラマのフォーマットに面白みがなくなってきた」として降板を申し出ました。
表向きは、降板時に76歳と高齢だったこと、健康面の懸念を理由としていたようです。
アマンダ・レッドマン降板
紅一点でチームをひっぱってきたサンドラ・プルマン役のアマンダ・レッドマンは、シーズン10をもって降板しました。
アマンダ・レッドマンは10年間、サンドラの役をつとめてきたのですが、「新しいことに挑戦しないといけない」として降板を願い出たそうです。
アラン・アームストロング降板
アマンダ・レッドマンの降板の直後、ブライアン・レイン役のアラン・アームストロングもシーズン10で番組を降板しました。
アラン・アームストロングは、「幸せな大家族のようだった。去るのはとてもさみしい。」とのコメントを残しています。
しかし、実際には、さきほどお伝えした脚本家の反論SNSの翌日の降板発表だったのです!露骨!
デニス・ウォーターマン降板
ここまでで、主要キャスト4人のうち3人が降板するという、ドラマ史上稀に見る事態となった「ニュートリックス退職デカの事件簿」。
最後に残ったのは、ジェリー・スタンディング役のデニス・ウォーターマンだけとなりました。
最後の砦、デニス・ウォーターマンも、シーズン12の最初に降板してしまいました。
いやー、まさに、走り出したドミノは決して止まらないという感じの降板劇ですね。
ニュートリックス|キャスト変更の評価は?
主要キャストの降板で、キャスト変更を余儀なくされたニュートリックス。
まず、シーズン9でジャック・ボラムの代わりに来たのは、スティーブ・マッカンデュー。演じたのは、デニス・ローソンでした。
次に、シーズン10でサンドラの代わりに来たのは、サーシャ・ミラー。演じたのはタムジン・アウスウェイトでした。
また、シーズン10でブライアンの代わりに来たのはダニー・グリフィン。ニコラス・リンドハーストが演じました。
新加入したキャストは、いずれも実力派でした。しかし、キャスト変更の評価は低く、テコ入れにはなりませんでした。
低評価の理由は、「クセ強な元刑事とサンドラの掛け合いが恋しい」「空気感が変わってもはや別のドラマ」など。
前任キャストの人気が圧倒的すぎたため、キャスト変更がうまくいかないのは仕方ないですね。
ニュートリックス|主題歌を歌っていたのは誰?
イントロの”It’s alright, It’s okay〜♪”でおなじみの主題歌。
ニュートリックスを観た人なら、誰しも鼻歌で歌えちゃうほど馴染んだはずのこの歌。
実はこの主題歌を歌っているのは、デニス・ウォーターマン(ジェリー役)なのです!
そう、ジェリー・スタンディングです。デニス・ウォーターマンは、俳優業と並行して、1970年代から主題歌歌手としても活躍。『The Sweeney』『Minder』などでも主題歌を担当しており、「主題歌も自分で歌う俳優」として知られていました。
デニス・ウォーターマンのリアルも“クセ強”
そんなデニス・ウォーターマンは1948年生まれ。そして、残念ながら、2022年に74歳で亡くなっています。
デニス・ウォーターマンのプライベートも”クセ強”で、なんと結婚歴は4回のバツ3。亡くなったときは、4番目の妻に看取られました。
ニュートリックスのジェリー・スタンディングもバツ3設定で、妻や娘がたくさんいて賑やかでした。デニス・ウォーターマンのリアルライフとリンクしていたのが興味深いところです。
まとめ|『ニュートリックス』はなぜ打ち切られたのか?
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オリジナルキャスト4人の降板ドミノ
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脚本家との衝突による現場崩壊
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キャスト交代によるファン離れ
という三重苦により、12年の歴史に幕を下ろすことになりました。
『刑事モース』や『ルイス警部』など他の英国ミステリードラマと並び、キャラの魅力が命だった本作。
だからこそ、「キャラの喪失=ドラマの終焉」だったのです。
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