世界一愛されている名探偵といえば、シャーロック・ホームズですね。
シャーロック・ホームズは、いつも論理的で冷静沈着。女性に心を動かされることなど、ほとんどありません。
そんなシャーロック・ホームズが唯一、特別視している女性がいるのをご存知でしょうか?
本記事では、シャーロック・ホームズにとって特別な”かの女性”、アイリーン・アドラーについて、
- 小説やドラマでの登場回
- プロフィール
- 美貌や知性・機転
について詳しく解説します。また、登場回「ボヘミアの醜聞」のあらすじもお届けします。
シャーロック・ホームズ|アイリーン・アドラー登場回
アイリーン・アドラー(Irene Adler)登場回は、アーサー・コナン・ドイルの短編小説集「シャーロック・ホームズの冒険」では、
第1話「ボヘミアの醜聞(原題:A Scandal in Bohemia)」
です。
グラナダTV製作のテレビドラマシリーズ「シャーロック・ホームズの冒険」でも、同様に、第1話「ボヘミアの醜聞」に登場しています。
実は、アイリーンが登場するのはこの一話だけです。
ですが、シャーロック・ホームズが心を揺さぶられた唯一の女性という珍しさから、読者・視聴者の記憶に深く刻まれました。
シャーロック・ホームズ|アイリーンってどんな女性?
- 1958年生まれ
- アメリカニュージャージー出身
- 元オペラ歌手
- オペラ歌手を引退後はロンドンに住んでいた
- ボヘミア皇太子の元愛人
このような経歴のアイリーンは、「ボヘミアの醜聞」で、弁護士のゴドフリー・ノートンと結婚します。なんと、立会人は変装したシャーロック・ホームズ!
そして、その後、夫婦でヨーロッパを離れました。
アイリーンはどれほど美しかった?
アイリーン・アドラーは大変な美人でした。どれほどの美人だったのか。シャーロック・ホームズの言葉をみてみましょう。
男が命を投げ出しても惜しくないほどの美しい顔をした女性だった。
A lovely woman, with a face a man might die for.
驚くほど情熱的な表現ですね。普段のホームズからは考えられないようなセリフです。
そもそも、シャーロック・ホームズがこのように感情的・主観的な表現をするのは非常に珍しいことです。しかも女性の外見について評することも珍しい。
それほどまでに、アイリーン・アドラーの外見が美しかったということです。
シャーロック・ホームズ「ボヘミアの醜聞」あらすじ
アイリーン・アドラーがシャーロック・ホームズと絡んだ唯一の事件、「ボヘミアの醜聞」のあらすじをご紹介します。ネタバレがあります。
王が依頼人!?
ロンドンベイカー街221Bのシャーロック・ホームズのもとに、怪しげな仮面をつけた依頼人が訪れます。
身分や名前を隠したい様子ですが、ホームズは、すぐに、この人物がボヘミア国の王(現在は皇太子)だと見抜きます。なお、ボヘミア国は、架空の王国です。
王の依頼内容は、過去に関係を持った女性アイリーン・アドラーから、2人が写った写真を取り戻して欲しいというものでした。
婚約を控えた王にとって、スキャンダルは王位にも影響を起こしかねないため、王自ら依頼に来たのでした。しかも、さすがは王様。さらっと差し出した報酬は2000万円(1000ポンド)です!ワトソンが小躍りするのもわかりますね。
変装と火事作戦:写真のありかを暴け!
ボヘミア王は強盗を雇って写真を盗み出そうとしましたが、写真がみつかりませんでした。
シャーロック・ホームズは、写真のありかを見つけ出す方法を思いつきます。
それは、発煙筒で火事を装い、アイリーンが最も大事にしているその写真を持ち出そうとするのを目撃するという方法です。
シャーロック・ホームズは、得意の変装で別人になりすますと、怪我をしたふりをしてアイリーンの家に入り込みます。そのうえでワトソンが発煙筒を投げ込み、写真の隠し場所を突き止めることに成功しました。
「おやすみなさい、ホームズさん」
写真の隠し場所を知ったシャーロック・ホームズは、高笑いしながら馬車で自宅に戻ります。
自宅に入ろうとしたとき、背中越しにある紳士の声が聞こえます。
おやすみなさい、ホームズさん。
近所の知り合いでしょうか。ほんの数秒の、何気ない日常の挨拶です。
翌朝早く、シャーロック・ホームズは、依頼人のボヘミア王とともに、アイリーン・アドラーの家に写真を奪いに赴きます。ありかはもうわかっています。
ところが、アイリーンはすでに出国したあと。しかも、写真の隠し場所には、手紙とアイリーンが1人で写った写真だけが残されていました。
シャーロック・ホームズの家の前で声をかけた紳士は、変装したアイリーンだったのです。アイリーンは、シャーロック・ホームズの罠を見破り、すぐに男装の変装をして尾行していたのでした。
シャーロック・ホームズを魅了したアイリーンの知性と機転
シャーロック・ホームズが惹かれたのは、類まれなアイリーンの知性と機転でした。
ホームズを出し抜いた鮮やかな行動とは?
- ホームズの企みを見抜き、素早く男装して尾行した
- ホームズの家の前で挨拶することで、ホームズだと確認した
- 翌朝姿を消し、隠し場所には手紙と別の写真を仕込んだ
という一連のアイリーンの行動は、見事でした。シャーロック・ホームズよりも、完全に一枚上手(うわて)だったと言わざるをえません。
知的刺激に飢えていてるシャーロック・ホームズは、自分を打ち負かしたアイリーンを特別視するようになったのです。
本当にアイリーンは”特別”だったのか?テレビドラマ考察
あくまでもテレビシリーズを見た感想ですが、シャーロック・ホームズの作戦は不自然すぎたと思います。
というのも、すでにアイリーンは、ボヘミア王が差し向けた強盗に複数回襲われています。なので、相当警戒している状態です。もし、日常からかけ離れたような、おかしなことがあれば、すぐにボヘミア王の差し金だと疑うのは当然でしょう。
そのような状況下で、
- 家の前で大騒ぎが起きる
- けが人が出る
- 火事も起きる
シャーロック・ホームズが仕掛けた展開は、非日常的な出来事が重なりすぎています。これは、アイリーンでなくても疑いますよね。
その上、火事なら誰だって真っ先に逃げ出そうとするもの。なのに、変装したシャーロック・ホームズはその場に留まり、なぜかアイリーンの動きをじっと見つめる⋯アイリーンが企みに気づくのも当然です。
なので、アイリーンが特に優れている”特別”な人だと判断するには、材料が少ないように思いました。
美しさこそがアイリーン最大の魅力?
シャーロック・ホームズがアイリーンの知性や機転に驚かされたのは、彼女が女性だったから。そう考えるのは、時代背景としても説得性があります。当時は女性に知性は求められない時代。そんな時代に、知性と行動力を持ち合わせていた類まれな存在がアイリーンだったのです。
そして、やはりやはり、圧倒的な美しさが、アイリーンを特別な女性に押し上げていることは否定できないでしょう。外見が美しい、元オペラ歌手なので声も美しい。
もし、アイリーンが、とにかく頭の良いだけで見た目が普通の女性だったら⋯シャーロック・ホームズが”かの女性”と呼んでまで特別視することはなかったのではないでしょうか。(そもそも、ボヘミア王の愛人となり得なかったですしね⋯)
ーーーー
名探偵コナンが引用したシャーロック・ホームズの名言(英語原文や元ネタ解説つき)について知りたいですか?こちらの記事をご覧ください。
コメント